たとえばの話、だ。あなたが小さな村の住人で、その村に1軒しかない酒屋と口論になったとしよう。酒屋に「おまえには金輪際、酒は売らん!」と言われ、返す刀で「誰が買うもんか、馬鹿野郎」と言い捨てた、と。あなたが無類の酒好きなら、すぐに後悔→前言撤回→謝罪となるパターンかもしれない。でも酒を飲まなくても生きてはいけるし、もとより酒屋で買わずとも居酒屋やバーで飲めば済む話だ。買った人から譲ってもらうというという手もある。

一体何のことかって? ほかでもない、例の中国によるレアアース対日禁輸の話だ。

尖閣諸島付近で発生した日本の巡視船と中国漁船との衝突事件により、中国政府は日本へのレアアース輸出を全面禁止した。これを受け、日本の大手マスコミは以下のような情報を流した。

  • レアアースはハイブリッド車などの製造に欠かせない希少資源である
  • 世界の消費量の4ぶんの1を占める日本では、全量を輸入に頼っている
  • 中国は世界の産出量の95%(97%という説も)を占めるレアアース大国である

そして、ほとんどの人がこう思ったに違いない。「えらいこっちゃ。こいつは日本の産業界にとって大打撃じゃないか。悔しいけど中国に謝るしかないのかよ!」とね。

おそらくそれは杞憂である。その理由も箇条書きにしてみよう。

  • 日本の民間企業はレアアースの在庫を持っている
  • 海外で生産している企業にとっては対日禁輸の影響はない(現地調達できる)
  • 中国からの輸入に依存しないための方策がすでに複数とられている

3番目についてもうちょっと補足しておくと、中国は確かに全世界のレアアース生産量の9割以上を占めてはいるものの、埋蔵量としては3割超に過ぎない。日本政府としてはすでに新規調達先の開拓に着手している。また、代替技術やリサイクル技術の研究も進んでいる。

えっと、この件についてはもうちょっと書きたいことがあるんだけど……続きはまた後で。