間もなく節分も終わるが、恵方について書いておきたい。2000年ぐらいからだろうか、恵方巻と呼ばれる太巻き寿司を決まった方角を向いてかぶりつく習慣が急に生まれた。関西方面にはもともとあった習慣なのだが、これを全国レベルにまで押し上げたのはひとえにコンビニ業界のキャンペーン(というか「仕掛け」)によるところが大きいと思う。

コンビニ情報によると、今年の恵方は南南東だそうだ。この恵方という方位について、僕はかねがね不思議に思っていたことがある。それは、はたして東洋の方位が西洋の方位で正確に表わせるものなのか、である。僕は風水とかの専門家ではないが、それでも東洋の方位が十二支をベースとする12方位あるいは24方位であることは知っている。それに対し、我々が普段使っている方位は西洋の方位で、つまり東西南北をベースとする4方位、8方位、16方位(稀に32方位)である。

今年の恵方、南南東は16方位による表現であり、北を0°とすれば157°30′にあたる。南(180°)よりも16分の1だけ反時計方向に戻った位置だ。つまり、西洋16方位の間隔は360°÷16=22°30′。それに対し、東洋12方位の間隔は30°、24方位の間隔は15°だから、南南東の157°30′はたとえ24方位であっても150°と165°の間にある微妙な位置になってしまう。

この恵方については以前にちょっと調べてみたことがある。全部で4つしかなく、その年の十干によって決まる。十干をご存知ない方は各自で調べていただくとして、十干は文字どおり10個(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)あるので、そのうち甲と己を「甲」、乙と庚を「庚」、丙と辛と戊と癸を「丙」、そして丁と壬を「壬」としている。今年の十干は癸(みずのと)なので、恵方は丙(ひのえ)。どうやらこの丙の方角を、世間では簡易的に南南東としているようだ。実際には南よりも24分の1(15°)だけ反時計方向に戻った165°の位置。ということは、コンビニで買った恵方巻に付いてきた方位磁石でぴったり南南東の方向に合わせたとしても、本来の恵方とは7°30′だけ狂っているわけだ。

ものはついでなので計算してみるが、ぴったり南南東を向いて口にくわえた恵方巻の長さが20cmと仮定すると、これを本来の丙の方向に修正するには先端部分を2.5cmほど右にずらせばいい。いや、それよりもiPhoneをお持ちなら、はじめからコンパスアプリで165°に合わせればいい話なんですがね。