最近の飲みの席でのこと。女性客のひとりが「私、男の人の無精髭にヨワいんです」と言ったので、冗談で「じゃあ、シェーバーで剃った髭の粉をご飯にかけて食べられる?」と返してみた。ところが、言った当人がその様子を勝手に想像してしまい本当に吐きそうになった。そう、僕は常に勝手に想像してしまうというか、すぐにビジュアルが頭の中に浮かんでしまうという特異体質(?)なのだ。

その一方で、小説を読むのが苦手という体質も持ち合わせている。登場人物とかのビジュアルが浮かぶには浮かぶんだけど、頭の中の世界がストーリーとは関係ない方向に進んだり、もしくはまったく別のことを考え始めたりするので、大抵はページを戻しながら読み進めるという非効率なやり方に自分でうんざりしてしまう。そのせいでというか、かつてライター業を営んでいたにもかかわらず、僕の本棚には小説の類がほとんど存在しない。今もほとんど読まない。

そういえばこんなこともあった。仕事がらみの飲みの席で小説の話題になり、誰かに「そーみんさんはマニアックなのを愛読してそうですね」と言われたのだが、真実は前述のとおりなので、普通に「あ、僕、小説読まないんですよ。というか、読もうと思ってもいつも読みきれないんで」と答えた。しかし場所が悪かった。その席には有名小説家のK先生がいたのだ。周りの空気が変な感じになりかけていたので、僕は咄嗟に機転を利かせ「あ、ちゃんと読める小説もありますよ。星新一とか」と付け加えた。その瞬間、先生が急に腰を上げたので一瞬焦ったのだが、ひと言「面白いね、それ。今度使っていい?」と。おそらく今頃、どこかのキャバクラで僕のネタを肴に盛り上がっていると思う。

そしてまた別の機会。仕事の待ち合わせをしていたカフェに早く着いたので、トマス・ハリスの小説「ハンニバル」の続きを読んでいた。しばらくしてやってきた仕事相手は、僕が小説を読んでいるのを見てひとこと、こう言った。

「あれっ、ビジュアル系のそーみんさんにしては珍しいですね」

しかも結構大きな声で。恥ずかしかったなぁ。