「まっすぐなうどんが食べたければ、普通のうどんを食べればいいじゃない」

我が家のマリー・アントワネットは、かつてこう言ってのけた。失礼。これだけじゃ何が何だか意味不明だと思うので説明すると、日清のどん兵衛(や「ラ王」)が生麺のような食感にこだわって「ストレート製法」を打ち出してきた頃に呈された苦言のようだ。要するに、カップ麺はカップ麺らしくジャンクな感じなままでいいんじゃないか、と。

ついでに補足しておくと、彼女は今もどん兵衛が好きだからゆえ、「らしさ」が失われてしまったことを残念に思っている。その証拠に、今なおアンチ生麺(というか昔ながらのカップ麺)路線をゆく東洋水産の「マルちゃん赤いきつね」に鞍替えするつもりはないという。あ、いや、言質をとったわけではないけど、おそらくね。

話はちょっと変わって先日のこと。近所のスーパーで夕飯の買い出しを(僕が)していたとき、ふと安売りのカップ麺の棚に「どん兵衛っぽいけどどん兵衛じゃない何か」を見つけた。あー、どん兵衛のバッタもんだなこりゃ、なんて思ったのもつかの間、よくよく見ると「日清御膳」や「NISSIN」の文字が。それでもまだ信じられなかったのでカップの横を確認してみると、製造元として日清食品の名前がちゃんと記されているじゃないか。え、正規品……なの?

なんとなく興味をそそられたので、非常食用に2個買って帰った。で、家に戻ってからネットで調べてみて、なるほど合点がいった。日清御膳というのは、どん兵衛シリーズの廉価版という位置付けだそうだ。普段あまり意識せずに買っていたのだが、どん兵衛シリーズ(そば・うどん)は、ライバルである「マルちゃん赤いきつねと緑のたぬき」よりもちょっとお高めな値段設定になっている。赤いきつねはスーパーの特売などで100円を切る価格(時には80円台)で売られているが、希望小売価格が170円(税別)のどん兵衛が100円を切ることはまずない。なので、マルちゃんに対抗すべく日清が打ち出したのが、エンポリオどん兵衛とでも言うべき日清御膳というわけだ。

その翌々日だったか、昼に小腹が空いたので試食(でもないか)してみた。確かに廉価版なりのクオリティではあるが、なんとなく懐かしいというか、正直、なんだかこっちのほうがどん兵衛らしい気がした。おそらく、まっすぐじゃないかつてのクネクネした麺だったからだろう。あぁこれこれ、これじゃなきゃ、みたいな。

これは奥様に教えてあげなきゃと思い、メールしかけたところでふと気づいた。もう1個、食べられてるやん。