手元の記録を遡ってみたところ、最初の発症は2012年の9月であった。

取引先にて缶詰状態で作業していたある夜中に、右の足の甲が異常に腫れ上がり……いや、右じゃなくて左だったか? とにかく足が信じられないぐらいのサイズになったことだけは覚えている。発症して数時間後には激痛で歩行困難となり、トイレに行くにも覚悟がいるぐらいだったのだが、さりとてかなり切羽詰まった状況ゆえに騙し騙し仕事を続けた(いや、続けさせられた、か)。このときは3〜4日ぐらいで、先の痛みが嘘のように治った記憶がある。

その翌年の夏にも同様の症状に見舞われたが、不思議なことに今度は反対側の足だった。最初が右で次が左か、はたまた最初が左で次が右だったかはもはや忘却の彼方だが、とにかく「何で逆?」と不思議に思った記憶だけは鮮明に残っている。苦痛に顔を歪ませつつタクシーに飛び乗り、知り合いから紹介してもらった整形外科に飛び込んではみたのだが、レントゲン写真で確認するも骨に異常は見つからず、原因も病名も分からずじまいだった。確かそのすぐ後に内科も受診したのだが、結局手がかりすら何ひとつ見つけられなかった。

えっと、そのまた翌年にも同じように足が腫れて通院した記憶があるが……残念ながら記録が見当たらない。

そうして今回である。最初は右足の踵がじんわり痛み始めたので、まずは近所の整骨院を受診。低周波治療とアイシング、マッサージなどで痛みは少し和らいだかのように思えた。しかしながらその数日後、今度は左足の甲が腫れ上がり、猛烈な痛みで歩くことはもとより立ち上がることすら困難になってしまった。この時点で「ある仮説」について、とうとう検討するべき段階に来たんじゃないかと覚悟を決めた。ずばり、痛風である。

思えば最初の発症当初から、周囲にこの話をするときまって「それって痛風じゃないの?」と言われてきた。何人かは薄笑いを浮かべつつ「こっち側へようこそ」的な反応だったり。が、それらを頑として拒絶し続けてきた自分がいる。根拠はまったくないが、とにかく痛風ではないのだ。確かに尿酸値は高めだが、それでも痛風だけは違うんだ、と。

が、そんな僕もとうとう折れたというか、もう他に選択肢が残っていなかったというか、痛みに耐えかねて弱気になったというか、意を決して痛風の専門医のいる医院を訪ねてみることにしたわけである。

「あーこれはおそらくタンドクですね。痛風じゃないです」

見るからに気弱な顔をしていたであろう僕に対し、目の前のベテラン風な医師はそう言った。訊けば「丹毒」という皮下の炎症だそうで、何かの拍子で体内に入った菌(主に連鎖球菌)が原因なのだとか。しばらくして自然に治ったように見えても、免疫力が低下したときにまた同じような炎症を引き起こし、それが習慣化するのだそうだ。なるほど、そう言われれば確かに心あたりがあるというか、睡眠不足とか夏バテとかのタイミングでこの症状が再発していたような気がする。その後、血液検査の結果からかなりの炎症反応が出ていたとのことで、十中八九「丹毒」で間違いないとの所見に。あ、尿酸値も痛風を疑うレベルではなかった(低くはなかったけどね)とのこと。ともあれ、2年半が経過してやっとのことで病名が分かり、ほっとしたというのが今の正直な気持ちである。

というわけで目下、処方してもらったペニシリン系の抗生剤を服用する日々。痛みもなんとか小康状態となり、もうちょっとで松葉杖なしで普通に歩けるようになる気がします。皆さん、お騒がせしました。