「あらあら、相当痛いんですってねぇ。お大事にー」

自宅マンションのエレベータにて、老婦人がこんな言葉をかけてくれた。杖を使って不自由そうに乗り込んできた僕が、その理由を「痛風」だと告げたからだ。ずいぶん前から煩わされていた足の痛みが、紆余曲折あって痛風のせいだと判明した顛末は、すでに2015年4月30日の投稿に書いたとおりだが、その後日談というか……えっと、要はまた痛くなっちゃったわけである。

ちゃんと薬を飲み続けて治療していたのに、なぜ? いや、すみません。治療、勝手にやめてました。忙しさにかまけて通院をさぼり、毎日服用するよう言われていたアロプリノール(尿酸降下薬)もいつしか飲まなくなり……という、典型的なダメ患者のパターンであった。

すっかり忘れ去っていた喉元に久々に熱さが戻ってきたのは、3月19日のこと。かつて通っていた病院にすぐさま予約の電話をしたものの、実際に診療を受けられたのは痛みもほぼほぼおさまった翌週。採血の結果、尿酸値は基準値をかなり上回る9.1(あ、以前もそれぐらいだったか)。今回もアロプリノールが大量に処方され、3ヶ月後にまた経過を見ましょうということになった。

が、悲劇はまたすぐにやってきた。正確な記録がないので日時は曖昧だが、程なくしてまた痛みが復活。それでも最初のうちは杖を使って歩けていたのだが、一旦おさまった後に再び痛みがぶり返してきた。しかも、最初は左足だったのが、再復活時には右足に替わるというミステリアスな展開。右足の痛みのほうが最初よりも格段に深刻で、ピーク時にはいまだかつて味わったことのないほど強烈な内部攻撃が絶え間なくやってくるという地獄絵図に発展。杖があってもとても歩けたものではなく、仕事先に無理を言って自宅作業にさせてもらう有様であった。

痛風というのは高尿酸血症を原因とする関節痛のことだが、尿酸値が高くなったから痛風(正しくは痛風発作)が起きるわけではない。素人なりにあれこれ調べてみて分かったことを書くと、まず、血液中に含まれる尿酸の量が多い(=尿酸値が高い)と結晶化して関節に付着しやすくなる。すると、白血球がそれを攻撃(正確には捕食)し、ゆくゆくは血管壁へのダメージとなり炎症となる。これがいわゆる痛風発作だが、尿酸値が急激に低下したときにも発作は起きるらしい。そして今回の騒動(?)の発端はまさに、この「尿酸値が下がっても発作は起きる」という事前情報にあった。

治療を再開後すぐに発作が起きた時点では、アロプリノールの服用はやめなかった。この発作は(投薬により)尿酸値が下がっている証拠だと信じていたからだ。また、ネットで「尿酸降下薬開始後に痛風発作が起きた場合は、尿酸降下薬の服用はそのまま継続すること」という、痛風外来の専門医による記事を見つけたことも大きかった。

それにしても、である。痛みの程度に緩急はあれど、仕事(というより日常生活全般)に支障をきたす期間があまりにも長すぎた。じつを言うと受診先が総合病院の整形外科ということで、かねてから治療方針に疑問を抱いており、いわゆるセカンドオピニオンをずっと検討していた。なので、ゴールデンウィークが始まるちょっと前に、痛風外来のある別の病院に予約を入れてみた。もうお気づきのとおり、前述のネット記事を書かれていた先生のいる病院である。

その病院、両国東口クリニックを訪れたのは、5月6日の朝。先生からはまず、発作が完全におさまってから「痛風クリアランス検査」を行ないましょう、という提案が。訊けば血液中の尿酸値が高くなる原因にはいくつかタイプがあるそうで、それを特定するための検査だとか。なるほど、原因が違えば治療法も違うというわけか。というか、何年も前に痛風発作が起きた当初からこういったアプローチを行なうべきだったんじゃないかと、今さらながら後悔の念なども湧き上がってきた次第。

それともうひとつ。これは正直驚いたのだが、アロプリノールの服用は中断するよう告げられた。あれっ、先生、発作が再発しても服用はやめるなって書いてませんでした? そう言いそうになりつつもとりあえず心の中に留めておいたのだが、考えてみればこれもケースバイケースというか、尿酸値を急激に下げるのはよくないという判断なのだろう。その代わりにというか、消炎鎮痛剤のナイキサンと胃酸抑制薬のシメチジン、そしてステロイド剤のプレドニンが処方された。

これを書いている今現在、これらの薬を3回服用したところだが、痛みは劇的に改善されている。もうね、薬を変更する前の状態は何だったのかと思えるぐらいの変貌ぶり。とは言っても改善されたのはあくまでも当座の痛みだけであり、治療自体はリスタートしたばかり。痛みが完全におさまったら痛風クリアランス検査の予約を入れることになっているが、今後もこちらで経過報告させていただこうと思っていますので、ひとつよろしくお願いいたします。