賢明なる読者諸賢から……というか、飲みの席で友人から質問を受けたのでフォローしておく。10件前のエントリ「先進国の中では日本は最多」でこんなことを書いた。
秋分の日(と春分の日)は天体の状態によって決まるため、前年2月の官報で発表されるが、今年2月に2009年の秋分の日は9月23日と決まった。
大体予想がつくと思うが、彼の質問は「秋分の日って、毎年同じじゃないの?」であった。
秋分の日と春分の日はベースが同じなので、とりあえず秋分の日で話を進めるが、まずは「秋分とは何か」を説明する必要があるだろう。分類的には冬至(夏至)や立秋(立春)などと同じ中国由来の「二十四節気」のひとつであり、今の暦で9月23日頃から10月8日頃(寒露)までの期間をいう。が、天文学における秋分は次のように定義されている。
天球上の黄経180度の点を太陽が通過する瞬間
おっと、いきなり難しくなりましたね。使われている用語を紐解きながら、基本的なことから説明するとしましょう。
まず、地球に赤道というものがあるように、天体にも「天の赤道」というものが存在する。いや、正確には地球の赤道ありきな特殊な考え方というか、天動説風な座標系というか、要するに天球上の天体の位置を「地球を中心にして相対的に天体が動いているモデル」として考え、地球の赤道を天球上に延長した線が「天の赤道」である。まぁ言葉で説明するよりも右の図(クリックで拡大)を見てもらったほうが早いか。このモデルにおいて、太陽は天の赤道に対して約23.5°の傾斜をもった軌道で公転していると考えられ、この「見かけの軌道」のことを黄道と呼んでいる。はい、ここまで大丈夫ですか?
図で示したモデルは「赤道座標」と呼ばれるが、黄道を基準に(つまり水平面として)描けば「黄道座標」となる。この手の天球座標系において、黄道上を移動している太陽は1年に2回、天の赤道と交差する。太陽が下から上へ(天球の南から北の方向へ)と交差する点を「春分点」と言う。これを黄径0°の出発点とし、太陽の移動につれて値を増やすと、黄径180°の位置で上から下へ(天球の北から南の方向へ)天の赤道と交差する。この点が「秋分点」である。秋分点を太陽が通過する瞬間のことを「秋分」、秋分を含む日を「秋分日」と言う。つまり、この秋分日を祝日法で「秋分の日」と定めている(正確には、国立天文台の算出する天文学的秋分日をもとにして閣議決定される)わけだ。これは春分、春分日、春分の日も同様ね。
ここでようやっと、最初の質問に戻る。地球が太陽の周りを1周する期間、つまり公転周期を1年としているから、春分の日も秋分の日も毎年同じになるように思える。が、実際には「ある理由」によってわずかなずれが生じ、そのずれが大きくなると違う日になる。祝日としての「秋分の日」は官報の発表によって決まるが、天文計算で求められる秋分日(の予想日)で言えば、来年2009年から2030年までの22回の秋分日のうち、17回は(今年と同じ)9月23日だが、2012年、2016年、2020年、2024年、2028年の5回は9月22日となる。
ではその「ある理由」とは何か? ひとつは、閏(うるう)年である。地球の公転周期、つまり天文学上での1年は365.2421904日(およそ365日と5時間49分)という中途半端な数字であり、これを補正するために閏年が存在している。小数部分の0.2421904は約4ぶんの1であるから、4年ごとにカレンダー上の1年に1日プラスすれば補正できる。だから4年に1度、閏年があるわけだ(実際には他の補正法も併用される)。4年経てばリセットされるものの、太陽が秋分点を通過する瞬間が深夜0時を前後する年があれば、秋分日は通年とは違う日になる。
もうひとつの理由は……長くなっちゃったので続きは、また。