あれは確か、押尾学の裁判で有罪判決が出たその日の夜だったと思う。飲みの席にて、隣に座った女の子からおもむろに「ねぇねぇ、執行猶予って何?」と訊かれた。お店のスタッフが「そーみんに訊いてみたら」と吹き込んだらしい(よくあることなんです)。僕も酔っていたので、とりあえず「ある一定期間、刑の執行を猶予するってことだよ」と優等生的な回答をした覚えがある。続いて「その期間が終わるとどうなるの? 無罪?」と、予想どおりの返しだったので「執行猶予中に他の罪で逮捕されたりしなければ、期間が満了すれば刑は執行されない。確か……前科もつかないんじゃなかったかな」と語尾がちょっとあやふやながら答えた。
果たして、これは正しかったのか?
調べてみたところ、僕の説明はおおむね合っていた。たとえば「懲役2年、執行猶予3年」という判決のことを「3年後に刑が執行されて刑務所に2年間入る」と勘違いしている人も少なくないと思うが、実際には3年の間に他の刑事事件を起こさなければ、言い渡された刑(この場合は2年の懲役刑)が執行されることは将来的になくなる。前科にもならない。「え〜、なんだか甘くない?」と驚く向きも多いだろう。前述した質問者の女の子もそう言っていた。
もちろんというか、執行猶予のつかない判決(実刑判決という)もある。日本の刑法では死刑に執行猶予がつくことはない(中国はつくことがあるらしい)し、非常に軽い刑(拘留や科料)にもつかない。初犯で懲役3年以下の場合につけられることが多いようだ。
ところで今回、執行猶予についていろいろ調べていて、禁錮(きんこ。禁固と書く場合もある)という用語が気になった。受刑者を刑事施設に拘置する刑罰のことだが、これは懲役とどう違うのか? 大雑把に説明すると、両者の違いは単に刑務作業があるかないかである。禁錮はただ拘置するだけだが、懲役は所定の作業を行なわなければいけない。もっとも禁錮の場合も、受刑者が刑務作業を願い出ることができる(請願作業)ので、両者を区別することの意義は疑問視されているそうだ。
禁錮や懲役は「自由刑」の一種とされている。つまり、受刑者の自由を奪う刑である。自由刑以外の刑には何があるかと言えば、身体刑と財産刑、そして死刑がある。それぞれがどんな刑なのかは、ここで詳しく説明しなくてもなんとなく意味がお分かりかと思う。
そういえば、Wikipediaで「身体刑」を調べたときに目にした以下の記述が気になった。
四肢の切断や鼻そぎのあたりがなんとも痛々しいが、今の日本では、身体刑は日本国憲法第36条に定められている「残虐な刑罰の禁止」に抵触するものとして認められていない。
蛇足ながら、同項目には江戸時代の日本の身体刑についてのこんな記述も。
額に「犬」って……前科4犯なのに全然怖くないかも。
