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ずいぶん前にシネフィル・イマジカで放映されていた映画『サンダーパンツ!』を、昨夜観た。いやはや、かなり馬鹿馬鹿しいけど、面白いわ、これ。
コメディ作品としての満足度は僕が保証するので、ここでは小ネタを2つほど。
まず、作品に登場するクルマが、ある1台のアメ車を除いて全部MINI。色も全部同じアーモンドグリーン。というか、作品全体の基調色がグリーンなのですね。ナンバーをいちいちチェックしなかったけど、おそらく5〜6台のMINIをエキストラ(?)的に使い回してますよ、きっと。
それから、天才科学少年のアラン役を演じているのは、『ハリー・ポッター』シリーズのロンことルパート・グリント。昨晩の時点ではまったく気づかなくて、今日調べてみてかなり驚いたって話ね。
オフィシャルサイト(日本公開は2003年10月)
試写を観てから1週間ぐらい経ってしまったが、一応レビューを書いておく。いや、一応っていうのはなんだか不本意だな。僕の場合、傑作ほどすぐに感想が湧いてこないタチだったりするので、ドンピシャな作品はどうしても筆(?)が遅れがちなのである。
まず最初に言っておきたいことがある。「ファンタジーなんて女子供の観るものだ」と決めつけている御仁は、観なくてよろしい……というのは言葉のアヤだが、そんな風に決めつけちゃってるオトナの皆さんこそ、あえて、騙されたと思って、ぜひ劇場に足をお運びいただきたい。かつては何にでも首を突っ込みたがる好奇心旺盛な子供だった時代を思い出して、ね。
世界中で飛ぶように売れているウォンカのチョコレート。このあまりにも有名なチョコレートの工場には、15年間誰も入ったことがなければ工場から出てきた者もいない。ある日のこと、お菓子の天才発明家でも知られている経営者のウィリー・ウォンカ氏が「ウォンカ製の板チョコに入っているゴールデン・チケットを引き当てた5人の子供に工場見学を特別に許可する」と発表したからさぁ大変。世界中の子供も親もチケット争奪戦にやっきになっていた。工場のある町のはずれのボロ家に住むチャーリー少年も、このチケットを心から欲しがっていた。彼は両親と両祖父母の7人家族で相当な貧乏暮らしをしていたが、誰よりも優しくまっすぐな少年だった。
ストーリーの「さわり」だけ訊いたら、おそらくこのチャーリーがチケットを引き当て、最後には心の綺麗さゆえに最大の恩恵に与るのだろう、みたいな展開が容易に予想できる。確かにそのとおりの展開だ。が、そこはやはりブラックユーモアの鬼才ティム・バートン監督と、希代の個性派俳優ジョニー・デップとの強力タッグ。ただ甘いだけのファンタジーで終わらせるわけがない。世界中から選ばれた5人の子供たちが体験するチョコレート工場の中身は、大のオトナがワクワクドキドキしながら笑い転げる、まさに夢の工場そのものであった。
登場人物で言えば、まともなのは語り部的存在のチャーリーぐらいか。彼以外の見学者は、いずれも一筋縄ではいきそうにない少年少女たち。食い意地の張った肥満児、大金持ちの家のワガママ娘、何でも一番じゃないと気が済まないおてんば少女、大人顔負けの論理的思考を持つゲーム少年……。それに輪をかけて奇天烈なのがデップ扮するウィリー・ウォンカ。子供たちが若干背伸び気味なのとは対照的に、夢見がちな子供がそのまま大人になったようなウォンカ氏の、突拍子もない行動と言動から目が離せない。まぁキャラ的にはマイケル・ジャクソンみたいな感じか。そういう意味では、工場の中身もネバーランドそのもの。観ている側も大仕掛けのアトラクションを疑似体験しているような気持ちになれる。こんな遊園地があったら、入場料が10万円でも行くね。
あ、そうそう、彼の工場で一所懸命働く小さなスタッフ、ウンパ・ルンパ(『ビッグ・フィッシュ』にも出演していたディープ・ロイが1人20役を熱演!)たちの一糸乱れぬダンスシーンも見どころのひとつ。
バートンの作品の中では珍しくギャグとエンタメ色が強調された感じの作風だが、最後にはちゃんとホロリとさせる心憎い演出も用意されている。マイベストワンムービーは今年も、バートンが2年連続で獲得かな。
日本公開は9月10日です。
ハイバジェット監督、マイケル・ベイによる近未来SF。主演はユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソン。7月12日、マスコミ試写にて鑑賞。
秩序があって美しいが内面的にはかなりデストピアな近未来。その日常(我々現代人にとっては非日常だが)を淡々と描きながらも、そこかしこに「おや?」と思わせる部分が見え隠れしている。物語が進むにつれて、何かとてつもなく大きなカラクリが存在していることが少しずつ明らかになっていく……とまぁ、皆様もうお気づきのとおり、映画のメソッドとしては『マトリックス』にかなり近いものがある。クライマックスにド迫力のカーチェイスシーンが用意されていることもあり、言わば『〜リローデッド』と『〜レボリューションズ』の要素も含めてギュッと凝縮したような感じ。いや、凝縮というには長すぎか。
良くも悪くもマイケル・ベイ作品ではある。徹底的にお金をかけて作られた、きわめてアメリカンなエンタメ映画。この「アメリカンな」という部分が曲者で、良く言えばダイナミックでストレートなアドレナリン系、悪く言えば大ざっぱでご都合主義なストーリー展開といったところか。一応の判断基準として『アルマゲドン』がアリだった人は、こちらにも文句は言わないような気がする。スティーブ・ブシェミも出てるしね。
とはいえ僕的には、近未来SFというジャンルはそれだけでアリだったりするので、予告編を観て食指が動いた人にはオススメしたいと思う。ただし、テレビCMなどで流れている予告編は惹句も含めてかなりネタバレなように思う(ゆえに、ここでも詳しいストーリー解説は避けた)。この手の映画は、事前情報がない状態で観たほうがより楽しめると思うんだけどなぁ。というかこれって、映画全般に言えるジレンマなんだけどね。
ペンギンは南極大陸にいる。正確に言えばガラパゴス島にもいるが、ほとんどは寒い場所に生息している。だから勝手に思いこんでいた。彼らはどんな寒さもへっちゃらなんだと。
リュック・ジャケ監督のドキュメンタリー『皇帝ペンギン』(7月16日より恵比寿ガーデンシネマにて先行上映。7月23日より全国拡大ロードショー)をマスコミ試写で観て、ペンギンに対する考えがガラリと変わった。というか、南極のペンギンも生死を分かつような極寒の環境にさらされるということを、この作品を通じて初めて知ったのだ。
南極大陸における極寒とは、マイナス40℃。しかも、風速250km/hのブリザードが猛烈に吹きすさぶ。人間のように防寒具もなければ、雨露をしのぐ家もない。ペンギンの中でも最大種である皇帝ペンギンは、そんな極限状態に長期間我が身をさらす。なぜか? 子供を育てるためである。
南極に冬の気配の訪れを感じ始めた頃、彼らはまるで神に導かれるかのように一斉に行進を始める。ペンギンは普段、もっとも生活のしやすい「海の近く」に住んでいる。彼らは飛べないかわりに泳ぎがうまく、魚や動物プランクトン、イカなどを捕食するからだ。そんな自由と安息の場所を後にし、100km近い旅を経て「営巣地」に着いたペンギンたちは、新しい命を授かるためのパートナーを見つけ、求愛のダンスを始める……。
驚くべきは産卵後だ。卵を孵す役割はメスではなくオスのほう。産卵で体重が激減したメスは、卵が孵化するまでじっと耐える体力はない。そのかわりにというか、これから生まれてくるヒナのためにエサを調達する役割を担う。卵を抱いてじっと耐えるオスと、卵が孵るまで旅に出るメス。これだけでも野生の神秘性を感じずにはいられないが、その期間が120日にもおよぶと訊けばさらに驚きである。しかもその間、エサは一切口にしない。オスだけの集団絶食生活の始まりである。なにしろここは、海から離れた場所だからどうしようもないのだ。
極寒に耐える高性能カメラを開発し、8080時間もの撮影時間が費やされた壮大な生命賛歌。フランス人俳優によるセリフはちょっと余計かなとも思えたが、編集も演出も、さらには音楽も申し分ない。何より、嘘偽りのないリアル映像の数々が、観る者にストレートな興奮と感動を約束してくれる。同種のドキュメンタリー映画『ディープ・ブルー』のDVDが今、かなりの人気を博しているそうだが、この夏はこちらも必見である。
ウェス・アンダーソン監督の最新作。なんだかずいぶん久々に劇場で映画を観た気がするなぁ。
ストーリーなどはオフィシャルサイトを見てもらえばいいとして、なかなかレビュアー泣かせのブツである。アンダーソン作品に初めて触れた(触れる)という人には申し訳ないが、せめて『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を観てからじゃないと、いわゆる「アンダーソンワールド」は楽しめないと思う。ちなみに、一緒に観に行った奥様(アンダーソン作品はこれが初めて)は「どこが面白いの?」とピシャリ。「ところどころ笑いどころはあったんだけどね」とも。
本作のコンセプトは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のそれと同じだ。主人公がジーン・ハックマンからビル・マーレイに替わっただけで、基本的には「財をなしたが夫としては失格なオヤジ」であり、且つ「人生の終盤を迎えて疑心暗鬼と自省の念にかられて葛藤するオヤジ」である。その「くたびれオヤジ」が不誠実であった家族に(間接的に)許しを乞う物語であることも共通。そんな映画が果たして面白いのかと訊かれれば、一応「僕は面白いと思った」と答えるつもりだが、その人の足を劇場へ向けさせることはなかなかできないと思う。
でも面白いんだけどね。
今日は試写を2本も観たんだが、その割には……いや、そんなだからこそ忙しくてレビューが書けないでいる。ちなみに作品は『ドッジボール』と『エターナル・サンシャイン』。前者は面白いんだけど期待はずれ。後者は万人ウケするとは思えないがなかなかの傑作。そんな感じで、近いうちに詳しく書きますね。
スピルバーグ監督がこの冬贈る感動のヒューマンドラマ、のマスコミ試写。主人公のクラコウジア(東欧の小国という設定)人にトム・ハンクス。キャサリン・ゼタ=ジョーンズがスッチー役で共演。
いやぁ、なんたって設定が面白すぎる。ハンクス扮するビクター・ナボルスキーの祖国は、クーデターによって事実上消滅。パスポートも無効になり、どこにも属さない人間となってしまう。ある目的でニューヨークへやってきた彼は、JFK空港のターミナル内に滞在し続けるはめに……。
でもよく考えたら、アメリカの空港ターミナル内ほどアメリカ然とした場所はない。いわゆる「いい人キャラ」なビクターは、この場所でアメリカという国の洗礼を受けつつも、この場所に馴染み、そして(ある事件を機に)この場所で働くスタッフのカリスマ(?)的存在になっていく。まぁこのへんのくだりは『フォレスト・ガンプ』っぽいんだけど、逆に言えばハンクスじゃなかったらこの役は務まらなかっただろうなとも思った。
エンタメ映画におけるスピルバーグの「ソツのなさ」は、この作品でもいかんなく発揮されている。「人生とは待つことと見つけたり」みたいなテーマ性はちょっとお仕着せっぽくもあるが、社会に対する自分の立ち居振る舞いをもう一度考え直してみようかなと思える、善玉エッセンスがふんだんに含まれた映画だ。
空港警備局主任役がヒールに徹しているのとは好対照に、最初は石頭っぽかった部下たちがビクターの理解者になっていく様子がなかなか面白い。ゼタ=ジョーンズも“らしくない”キャラをうまく演じ切れていてGOOD。お正月映画の本命ですな、コイツは。
『ファインディング・ニモ』のアカデミー賞スタッフ最新作、の完成披露試写……というか、観たのは先週なんだけど、一応レビューを書いておかねば、と。
これまで魚とかオモチャとか昆虫とか、動きがぎこちなくても不自然じゃない題材ばかり選んできたピクサーが、ここで初めて「人間がメインのCGアニメ」にチャレンジ。とはいえ、インクレディブル家の面々をはじめ登場人物はかなりコミカルにデフォルメされている。以前、『ファインディング・ニモ』に登場する歯医者さんとかその姪のダナを見たときに思ったんだけど、ピクサーは今後、「人間」をこういう感じで描いていくつもりなんだと思うし、その選択はおそらく正しいと思う。日本のゲームメーカーが鳴り物入りで作って大コケしたフル3DCGの映画の例もあることだしね。
さて、ずいぶん前からことあるごとに「ピクサーにハズレなし」と言い切っている僕だが、今回でいっそうそれを強く実感した。日々進歩するCG技術はふんだんに投入されているが、そのクオリティにあぐらをかくことなく、話を面白くするほうにも心血が注がれている。事前に監督が『アイアン・ジャイアント』のブラッド・バードだと聞いても完成形が全然予想できなかったんだけど、蓋を開けてみれば、いいじゃない、この感じ。間違いなく、ピクサーの最高傑作と呼んでいいと思う。
個人的には一家の長女ヴァイオレットのキャラがお気に入り。彼女のみのキャラクター商品があったら、ちょっと欲しいかも。

