試写を観てから1週間ぐらい経ってしまったが、一応レビューを書いておく。いや、一応っていうのはなんだか不本意だな。僕の場合、傑作ほどすぐに感想が湧いてこないタチだったりするので、ドンピシャな作品はどうしても筆(?)が遅れがちなのである。
まず最初に言っておきたいことがある。「ファンタジーなんて女子供の観るものだ」と決めつけている御仁は、観なくてよろしい……というのは言葉のアヤだが、そんな風に決めつけちゃってるオトナの皆さんこそ、あえて、騙されたと思って、ぜひ劇場に足をお運びいただきたい。かつては何にでも首を突っ込みたがる好奇心旺盛な子供だった時代を思い出して、ね。
世界中で飛ぶように売れているウォンカのチョコレート。このあまりにも有名なチョコレートの工場には、15年間誰も入ったことがなければ工場から出てきた者もいない。ある日のこと、お菓子の天才発明家でも知られている経営者のウィリー・ウォンカ氏が「ウォンカ製の板チョコに入っているゴールデン・チケットを引き当てた5人の子供に工場見学を特別に許可する」と発表したからさぁ大変。世界中の子供も親もチケット争奪戦にやっきになっていた。工場のある町のはずれのボロ家に住むチャーリー少年も、このチケットを心から欲しがっていた。彼は両親と両祖父母の7人家族で相当な貧乏暮らしをしていたが、誰よりも優しくまっすぐな少年だった。
ストーリーのイントロ部分だけ訊いたら、おそらくこのチャーリーがチケットを引き当て、最後には心の綺麗さゆえに最大の恩恵に与るのだろう、みたいな展開が容易に予想できる。確かにそのとおりの展開だ。が、そこはやはりブラックユーモアの鬼才ティム・バートン監督と、希代の個性派俳優ジョニー・デップとの強力タッグ。ただ甘いだけのファンタジーで終わらせるわけがない。世界中から選ばれた5人の子供たちが体験するチョコレート工場の中身は、大のオトナがワクワクドキドキしながら笑い転げる、まさに夢の工場そのものであった。
登場人物で言えば、まともなのは語り部的存在のチャーリーぐらいか。彼以外の見学者は、いずれも一筋縄ではいきそうにない少年少女たち。食い意地の張った肥満児、大金持ちの家のワガママ娘、何でも一番じゃないと気が済まないおてんば少女、大人顔負けの論理的思考を持つゲーム少年……。それに輪をかけて奇天烈なのがデップ扮するウィリー・ウォンカ。子供たちが若干背伸び気味なのとは対照的に、夢見がちな子供がそのまま大人になったようなウォンカ氏の、突拍子もない行動と言動から目が離せない。まぁキャラ的にはマイケル・ジャクソンみたいな感じか。そういう意味では、工場の中身もネバーランドそのもの。観ている側も大仕掛けのアトラクションを疑似体験しているような気持ちになれる。こんな遊園地があったら、入場料が10万円でも行くね。
あ、そうそう、彼の工場で一所懸命働く小さなスタッフ、ウンパ・ルンパ(『ビッグ・フィッシュ』にも出演していたディープ・ロイが1人20役を熱演!)たちの一糸乱れぬダンスシーンも見どころのひとつ。
バートンの作品の中では珍しくギャグとエンタメ色が強調された感じの作風だが、最後にはちゃんとホロリとさせる心憎い演出も用意されている。マイベストワンムービーは今年も、バートンが2年連続で獲得かな。
日本公開は9月10日です。
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